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通院と治療

事故に遭った場合、事故からこれ以上治療を継続しても大幅に改善が見込めないとされる症状固定までの時期は、相手側の保険会社が治療費を負担してくれます。

怪我の治療は事故からしばらく経ってからするのではなく、事故直後に治療を開始しましょう。
事故に遭ってから数ヶ月が経ってしまうなど、時間が経過してからの治療となれば、事故との因果関係が争点となってしまいます。


通院する際には、症状について気になることがあれば医師にきちんと伝えましょう。

整骨院での施術・通院

整骨院は病院ではありませんが、整骨院でも施術を受けることはできます。
しかし、整骨院へ通院される場合には注意が必要です。
 
整骨院は病院ではないため、医療行為を受けることができません。
検査や診断、薬の処方、レントゲン検査、CTやMRIなどは医療行為となるため、整骨院ではなく、病院の整形外科を受診する必要があります。
 
また、症状固定までの期間の施術費について、受傷内容や程度を照らし必要かつ相当な施術費は損害となります。
整骨院での施術費については、症状により有効かつ相当な場合、医師の診断の指示がある場合などは認められる傾向にあります。
整骨院、鍼灸、マッサージ等の施術の必要性
  • 1
    施術を行うことが必要な身体状態にあった(施術の必要性)
  • 施術を行った結果、具体的な症状の緩和が認められる(施術の有効性)

  • 施術が受傷内容と症状に照らし、過剰・濃厚に行われておらず、症状と一致した部位につき、適正な内容として行われている(施術内容の合理性)

  • 受傷の内容、治療経過、疼痛の内容、施術内容およびその効果の程度等から、施術を継続する期間が相当である(施術期間の相当性)
  • 報酬金額が社会一般の水準と比較して妥当なものである(施術費の相当性)
施術の必要性について、上記の1~5の要素から判断されます。
整骨院等の施術を受けることについての医師の指示があれば、当然に施術費の全額が損害となるわけではなく、施術の相当性が評価されます。
必要性を立証するには?

事故後に整骨院等へ通院する場合、治療費・相当性が争点となることがあります。

事故後、症状固定までの期間については、保険会社が治療費を病院へ支払うことが通常です。保険会社は整骨院等への施術の必要性を判断します。整骨院等での施術が必要ではないと判断した場合、治療費の支払を打ち切ることを打診してきます。

整骨院等の施術の必要性を立証するには、上記の1~5を具体的に立証する必要があります。

 
施術が認められない場合には、整骨院等の施術証明書、医療機関の経過診断書、医師の意見書、医療照会、施術の有効性に関する被害者の陳述書等での立証が必要です。
施術費が認められた裁判例

・追突事故の被害者(女性65歳)につき、頸椎捻挫に引き続くバレー・リュー症候群と診断された場合に、バレー・リュー症候群の患者にはカイロプラクティック治療は有効ではなく、むしろ悪影響があると考えられており、医師の指示はないが、症状を軽くさせるのに効果があったことは否定できないとして、48回のうち比較的頻繁に通院していた19回について治療の必要性を認めた

(東京地判平7.9.19 交民28・5・1358)

・頭部外傷、左肘頭骨骨折、左膝後十字靭帯損傷等の公務員につき、被害者は医師と話し合ってリハビリテーションを受けるために整骨院に通院し、運動療法及び電気治療などを受け、施術を受けたときには症状が減少したこと、病院ではリハビリテーションを受けていなかったこと等から、整骨院での治療費全額163万円余を認めた。

(神戸地判平18.12.22 交民39・6・1775)

・頸椎捻挫に伴う頸部から左肩にかけての痛み、握力低下(14級9号)の公務員(女)につき、診療時間が限られている医院にはほとんど週末しか受診できなかったことから、勤務終了後に通院できる整骨院等に通院することとし、医師も承知していたこと、整骨院等の施術の内容は、医院で受けていた消炎鎮痛等処置と概ね同じであり、症状改善に効果的であったことから、症状改善に必要かつ相当であったとして、4ヶ月間合計56回にわたる施術費40万円余を認めた。

(東京地判映25.8.9 自保ジ1910・64)

 

整骨院等ではなく、整形外科へ!

事故直後に痛みが無くても、整骨院等へ通院するのではなく、まずは整形外科を受診しましょう。

後遺障害申請の際には、医師が作成した診断書が必要となります。
整骨院では、診断書を書いてもらえないため、後遺障害申請が出来ない可能性が出てきます。

また、整骨院等へ通院したい場合は、通院されている病院の主治医に整骨院等へ通院することについて確認しましょう。

 

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