交通事故証明書には、事故の詳細な事実関係は記載されておらず、交通事故を特定する事項のみが記載されているにとどまります。交通事故の具体的な状況・態様を確認するためには、刑事事件記録を取得する必要があるのです。
刑事事件記録には、捜査機関による事故直後の現場検証(実況見分)の結果を書面化した実況見分調書が含まれており、実況見分調書には、交通事故の現場道路の形状や幅員、道路の見通しの良否、天候や路面の状況、スリップ痕の有無・長さ、関係車両の位置関係、衝突地点と被害者の転倒地点等が記載されています。
刑事事件記録は、訴訟提起後、文書送付嘱託(民訴法226条)によって警察や検察庁から取り寄せることも可能ですが、ご相談者の記憶が客観的な状況と異なることもありえるほか、現場の位置関係に関する詳細な数値などを入手する必要があるため、裁判上の手続によらず弁護士会照会によって、早期に取得し検討することが望ましいといえます。
まず、交通事故証明書の事件照会番号欄にある警察署の交通係に電話連絡をし、事故照会番号、事故発生日時および当事者名等を告げて、事件送致先の検察庁、送致年月日および検番を問い合わせます。確認された情報をもとに、事件が送致された検察庁に問合せをして、加害者の起訴の有無および起訴の場合の事件の進行状況(公判係属中か、終結し確定したか)を確認します。依頼者が検察庁からの情報提供により、加害者の刑事事件の事件番号等をすでに把握していることもあるので、その場合は警察署に確認をすることなく直接検察庁に問合せをすることが可能です。
刑事事件がすでに確定している場合には、弁護士会照会により刑事事件記録を閲覧謄写することができます。不起訴で終決した事件記録については、原則として実況見分調書のみ閲覧謄写が可能であり、これも弁護士会照会により取り寄せることができる。刑事事件記録には保存期間があるので(たとえば、罰金の事件記録は判決確定後3年、不起訴の場合は裁定後5年など)、早期に取得する必要があります。
係属中の刑事事件記録については、犯罪被害者保護法3条1項に基づき、刑事事件の係属する裁判所に対して、閲覧謄写の申出をすることができます。また、係属中の少年事件の記録については、少年法5条の2に基づき、家庭裁判所に対して閲覧謄写を申請することができます。
保険会社がすでに刑事事件記録を取り寄せている場合は、その写しを送付してもらえるケースがありますが、保険会社は刑事事件記録のすべてを謄写しているとは限らないので、被害者側に有利な証拠が抜け落ちている可能性もあります。したがって、被害者側でも刑事事件記録を取り寄せることが望ましいところです。
なお、実況見分調書等には、事故現場や事故車両の写真が添付されていることが多いですが、夜間に実施された実況見分の写真等については、自黒コピーでは撮影対象物の確認に困難を来すこともあるので、写真はできる限リカラーコピーで取得するのが望ましいといえます。
物損事故については、事故の詳細な事実関係を記した実況見分調書は作成されず、物件事故報告書や事故処理報告書が作成されるのが通例です。物件事故報告書等は、事件を取り扱った警察署に対して、弁護士会照会をすることによって取り寄せることができます。
事故当事者のいずれかが事故車両に車両保険を付保している場合には、保険会社は事故の状況・態様や車両の破損状況等を調査した調査報告書を作成していることがあります。調査報告書には現場の図面や写真が添付されていることがあるので、被害者としては少なくとも自己の保険会社が作成した調査報告書については入手すべきといえますが、開示の範囲などについては交渉が必要です。
軽微な物損事故等で、警察に事故の届出がされておらず、また、事故車両が車両保険にも加入していない場合には、被害者側で事故現場の図面や写真を添付した報告書を作成し、事故の状況・態様を記した陳述書等を作成する必要があります。
事故当時の信号機の色が争点となる場合には、訴訟提起前は弁護士会照会により、訴訟提起後は文書送付嘱託によって、所轄警察本部から信号機サイクル表を取り寄せる必要があります。信号機サイクルは、例えば、複数の信号機が連続して設置されている道路において、青信号や制限速度を遵守していたならばこのタイミングでこの交差点を走行していたはずはない(速度超過して、または信号無視して走行していた)といった立証にも使います。
また、タコグラフを搭載している車両で、事故当時の走行速度が争点となった場合には、タコグラフを証拠提出することが考えられます。
事故車両がドライブレコーダーを搭載している場合には、事故当時の状況を撮影した有力な証拠として、その映像を証拠提出することが考えられます。この場合、動画を保存した記録媒体を提出するとともに、ポイントとなる部分をコマ落としの形で写真化した書証も提出することが効果的です 。
警察が実施する実況見分には、正確性を期するためにも事故の当事者双方が立ち会うべきですが、被害者が交通事故により死傷したため実況見分に立ち会うことができないことがあります。
実況見分に被害者の立会いがない場合、加害者の説明が中心となり、被害者側の視点が十分に反映されない実況見分調書が作成されるおそれがあります。
そこで、被害者側に有利な証拠を残す観点からも、被害者やその家族、または依頼を受けた弁護士等により、事故現場の状況を確認し、必要に応じて図面や写真による記録を残しておくことが望ましいといえます。交通事故の現場は、時間の経過とともに、道路工事の実施や交通規制の変更等により、事故発生当時と環境が変わってしまうことがありうるので、事故現場の確認はなるべく早めに行われる必要があります。交通事故現場の図面や写真による報告書を作成する場合には、写真については、撮影者、撮影日時、撮影場所を記載し、併せて撮影方向を記した図面を添付することが必要です。
事故車両に同乗者がいた場合、事故の状況・態様等について、同乗者から事情を聴取する必要があります。また、事故現場付近に住宅や店舗などがあるのであれば、事故や事故直後の状況の目撃者がいる可能性があるので、事故現場付近の住宅等に聞込みをするのもひとつの方法です。ただし、時間の経過とともに目撃者の記憶も薄れてしまうので、早めに着手することが望ましいといえます。
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